雪舟・柿右衛門に牡丹
過去の先人たちに教えを請い、また時空を超えて共鳴する歓びをいただきながら古陶の魅力と花の美をモチーフとして、日々葛藤を繰り返しつつ描き続けております。
陶の名品に内在する宇宙観、時の移ろいを映し出す花々の姿には、日本古来の 美の心、そして遠い故郷への懐かしさを強く想起させる不思議な力を感じます。
時の流れは早いもので、いつの間にか私も還暦を過ぎてしまいました。 これまでの長い道のりの中で、苦しい時代もありましたが、多くの方々との出会い によって我が人生は支えられてまいりました。今、振り返れば唯々感無量であり ます。
「たゆまざる 歩み恐ろし かたつむり」 <北村西望>
芸術の道は険しく、目指すところはなお遠く、精進に終わりはありません。この句 のように生涯をかけて一歩ずつ積み重ねてまいります。
2013年6月 九鬼三郎